このような経緯もあり、どうやら僕という存在は業界内で警戒されたようだ。ライターとして思うように活動できない、もどかしい期間が長く続いた。

 あるとき、とある編集者さんから「佐藤さんは根は真面目なんだから、それをそのまま表現したら?」というアドバイスを送られた。この言葉をキッカケに、僕はモンスター社員という肩書の使用を一切やめた。以降、少しづつ各出版社から仕事を任せてもらえるようになった。そして迎えた2025年7月。ずっと書きたかった「億ション姉さん」について執筆する機会をいただいた。

作り話、妄想、ゴミみたいな小説…
記事へのコメントに、筆者が今思うこと

 ウーバー配達員と億ションに住む女性が「友達」になり、末期癌による別れを迎える…。前回記事に寄せられたコメントには、「フィクション。話に無理がある」「ゴミみたいな小説」「生成AIに書かせたんだろうな」「読んで損した。作り話や妄想を書くのはやめてくれ」といった声が数多く寄せられた。

 たしかに僕の経験は一般的に考えて、なかなか起こり得ないだろう。かなり珍しい体験であり、だからこそ一部の読者の方が「これは本当の話なのか?」と疑問に思うことは至極当然だと思っている。しかし、この話は現実に起こったことだ。

 辛辣なコメントの背景には、ウーバー配達員に対する「社会的評価の低さ」も影響しているのかもしれない。清潔感のない格好をしていたり、危ない運転をしたり…。正規雇用でない点を含め、配達員に対する世間の評価は、お世辞にも高いとは言えない。そんなウーバー配達員が億ションの住人と「友達」になるはずはない、というわけだろう。

 まとまりのない文章になってしまったが、「億ション姉さん」の記事がバイアスや偏見、社会人になって私たちが失ったものについて、考えるキッカケになってくれたら嬉しい。

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