
2026年4月から始まる自転車の「青切符」制度によって、自転車の車道通行が一気に増えることが予想される。これまでのルールでも自転車の通行は「原則車道」だったが、これまで自転車で歩道を走り続けてきた日本人。「車道を走るのが恐い」という声も少なくない。運用ルールの策定に関与した専門家に意見を求めると「我々もそう(危険だと)思っている」「(青切符導入は)見切り発車」という意外な答えが返ってきた。一体なぜ自転車に青切符を導入したのか。その経緯を明かしてくれた。(ウーバー配達員ライター 佐藤大輝)
子どもを乗せた母親も走れと?
自転車の車道通行に不安の声
2026年4月1日から施行される、自転車の青切符(交通反則通告制度)。現在進行形で警察とルールを作っている、NPO自転車活用推進研究会理事長の小林成基氏へのインタビューをまとめた≪自転車で歩道を通行して「反則金を取られる人」と「取られない人」の決定的な違い【来春から罰則強化】≫では、ほとんどの国民が知らないであろう「自転車で歩道を通る際の注意点」について紹介した。
インタビューで「不幸な事故を減らしたい」と語ってくれた小林氏。この考えに反対する人は、おそらく誰もいないだろう。私自身、歩道を歩いているとき自転車に乗った学生(スマホと会話に夢中だった)に激突されたことが、直近1年間で2回もあった。怪我はなかったので事故扱いにはしなかったが、もしも高齢者や子供にぶつかれば、大きな事故につながっていたかもしれない。
自転車は車のなかまであり、原則として車道を通行することは、今回の青切符導入により多くの国民が意識するようになるはず……。けれど現実問題として、自転車の車道通行には無理がある気もする。なぜなら車の路駐など、自転車が車道を通行する環境が整っていないからだ。
SNSには「車道を走るのが危ないから歩道を走っている」「子どもを乗せた母親も車道を走れと?」「自転車の車道走行で逆に事故が増えそう」といった投稿が目立つ。もしもこれまで歩道を走っていた自転車が車道と歩道を行ったり来たりするようになれば、不幸な事故が今以上に多発するかもしれない。
自転車の車道通行は本当に実現可能なのか……。警察庁が設置した官民連携協議会にも参加した小林氏に、忖度なしで質問をぶつけてみた。