株式投資をする人たちの間で大きな支持を集める話題の1冊が『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。60問のクイズに答えるだけで「投資のコツ」をつかめる手軽さが人気を博し、絶賛の声が尽きない。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超もの資金を運用してきた経歴を持つ楽天証券・窪田真之氏だ。本記事では、同書の担当編集者が本のポイントを紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

予測する人は、うまくいかない
『株トレ』の著者・窪田さんが、チャートを活用したトレードで何より重視するのは、「予測して動く」のではなく、「起こったことについていく」という姿勢です。
株で損している人の多くが陥っている失敗は、「この銘柄は絶対に上がるはず」「優良企業だから下がらない」といった思い込みに縛られて、損切りできないことです。
自分の予測と逆の動きが起きている時に、合理的な売買をすることができなくなってしまうのです。
結果、下落し続ける株を手放せず、含み損を抱えたまま塩漬けにしてしまいます。
銘柄名を隠してチャートを見る
こうした先入観を取り除くために有効なのが、「会社名を伏せてチャートを見る練習」です。
社名が書かれていないチャートであれば冷静に判断できるのに、実際の売買になると感情に左右されてしまう人は少なくないと、窪田さんは指摘します。
チャートを逆さにして、先入観を振り払う
さらに、この本では、チャートを上下逆さまにして見ることも推奨しています。
本来なら「買い」と判断すべきチャートは、上下反転すれば「売り」に見えるはず。もし逆の投資判断にならないのであれば、それは先入観で目が曇っている証拠です。
「売りのシグナル」の本質
チャートの「売りシグナル」をたとえるなら、ビルの階段を登っている時に、ふと上の階から、大勢の人が恐怖の表情で駆け下りてくる状況。
もしそんな状況に居合わせたら、理由が分からなくても、とりあえず一緒に降りるはずです。
それと同じで、チャートは危険を察知する「群衆の動き」を教えてくれます。
特に短期トレードでは、たとえ業績が良い銘柄でも、チャートが強い売りシグナルを出していれば迷わず売る。形が悪ければ、短期的に下落する可能性が高いと判断し、下がらなければ、また買い直せばいいのです。
上昇トレンドに素早く乗り、下落トレンドから即座に降りる。
このシンプルな原則を徹底するため、『株トレ』では一問一答形式のクイズでチャートの見方を鍛えます。理論だけでなく、実戦感覚が自然と身につく構成です。