
職業体験型テーマパークの「キッザニア」が、“東京ディズニーリゾート化”しています。「子どもが主役」というコンセプトながら、実際は親が入念に下調べをし、課金しなければ十分に楽しむことができません。一部の親からは「ディズニーよりも攻略が難しい!」といわれるほど。キッザニアの“正体”を解説します。(明治大学経営学部兼任講師 中島 恵)
東京ディズニーやUSJに負けず
「キッザニア」が根強い人気のワケ
「キッザニア」とは、3~15歳をターゲットとした職業体験型テーマパーク。子どもがいろいろな仕事やサービスを体験することで、楽しみながら社会の仕組みを学ぶ施設です。仕事をしたら給料として専用通貨「キッゾ」をもらい、キッゾを使って買い物をすることもできます。
施設内は、現実社会の約3分の2サイズの街に、実在する企業がスポンサーとなったパビリオン(店舗や工場を模したもの)が並んでいます。職業体験(アクティビティ)は、例えばANAでは、パイロットと客室乗務員の仕事を体験できます(保護者も乗客として参加可能)。成果物を持ち帰るパターンもあり、例えば森永製菓ではハイチュウを伸ばして切り、オリジナルパッケージに詰める作業をします。
スポンサーは業種業態が幅広く、キッザニア東京ではALSOKが警備センター、Zoffがめがねショップ、コマツが建設機械開発センター、大日本印刷がプリント工房、日本ハムがソーセージ工房、はとバスが観光バス、バンダイがおもちゃ工房を出展するなど50社前後が提供しています。
キッザニアはメキシコ発祥で、海外展開の第一弾となった日本の開業後、急速に国際展開を進めています(その理由は後述)。日本には東京、甲子園(兵庫県西宮市)、福岡の3施設があります(名古屋にも開業予定でしたがつい最近、建設コスト高騰を理由に計画中止)。
キッザニアの特徴として、現地企業がスポンサーとなりアクティビティを提供しているため、現地の人が好むコンテンツを磨き上げることができます。東京は2006年に開業して以来、根強い人気で22年に累積入場者2200万人を超えました。
翻って日本のテーマパーク業界は、東京ディズニーリゾート(TDR)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)という、超強力なツートップがいます。どちらも米国本社とライセンス契約して運営していますが、日本の顧客に合わせたアトラクション開発やサービス設計、グッズ販売することで絶大な人気を誇っています。
キッザニアの東京も大阪も、TDRやUSJと商圏や客層が大きく「かぶって」います。にもかかわらず、なぜ人気を継続できているのでしょうか。そして実は、人気のあまりキッザニアが、“TDR化している”ことを、6つの現象から指摘します。