いつでも話に耳を傾け、決めつけることはしない。あなたが聞きたいことを言ってくれる――。チャットボットの魅力であるこうした特徴は、同時に危険性も持ち合わせている。自閉症を抱える人々にとっては特にそうだ。チャットボットが本当ではないことを言ったり、誤った意見を助長したりするときは、誰にとっても有害なものになり得る。しかし、物事は白か黒かのどちらかしかないといった考え方をすることが多く、特定のテーマにこだわることがある自閉症の人々は、特に影響を受けやすい。筆者が7月に取り上げたウィスコンシン州在住のジェイコブ・アーウィンさんがそうだった。自閉症スペクトラム症のアーウィンさんは、米オープンAIの生成人工知能(AI)チャットボット「チャットGPT」とやり取りしたあと、躁(そう)病と妄想を経験した。