くりぃむしちゅー上田晋也が50歳を迎え、コロナ禍で綴ったエッセイ『経験 この10年くらいのこと』(ポプラ社)。芸能界の裏話、家族との日常、体調不良、記憶力低下など、40代のリアルをユーモラスに描いた、10年間の非成長記録です。今回は、「地元・熊本に帰ると、必ず起きる“兄貴フィーバー”」をお届けいたします。地元・熊本に帰ると地元のテレビやラジオに出演する兄は、なぜか私より人気者。全国区のはずの俺は、なぜか空気扱い――その理由は「名前」?「顔」?それとも兄の“天然キャラ”?
熊本~上田アニの実力~
1~2年に一度、故郷熊本に帰る。
熊本に帰ると、昼間はゴルフ、夜は飲み、という毎日を繰り返すことになる。ゴルフや飲み会は、高校時代の友人たち、という毎日同じ顔ぶれと過ごすのだが、その集まりに私の兄が顔を出すこともちょこちょこある。
写真/有泉伸一郎
兄は、熊本でテレビやCMなどの制作をやるかたわら、ご当地タレントとでもいうのだろうか、テレビやラジオに出演したりもしている。私が出演している東京のテレビにも、番組スタッフが私の困った顔見たさに、悪戯(いたずら)心で兄を出演させたりすることが年に一、二度あるので、ご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれない。
私が43歳のおりに熊本に帰った時。いつものように高校時代の友人たちと食事をする約束になっていたのだが、たまたま私と兄が早目に店に到着し、しばらく二人っきりで話をする時間があった。ちょうどいい機会だと思い、ちょっと前から気になっていたことを兄にぶつけてみた。
「もう制作の仕事に集中してさ、タレント活動っぽいのはやめたら? 正直東京の番組に来るのも面倒臭いし」
兄は突然の私の告白に戸惑ったような表情をしていたが、すぐさま反論してきた。







