ただし5分後にタイマーが鳴ったら、起こったことを受け入れて先に進む。

 また、タイマーが鳴ったときに、次の言葉をつぶやくように、ともアドバイスされた。

「それは変えられない」

 現実に抵抗し、違っていたらよかったのにと願い続けることには意味がない、ということを思い出させるためだ。

 彼はこう説明した。「唯一の論理的な選択は、人生をありのままに受け入れ、自分のエネルギーと意識の100パーセントを、ただちに自分がコントロールできることに向けることだ」

ドタキャンの怒りを
5分耐えたらどうなった?

 僕は「5分ルール」を初めて知ったとき、「タイマーを設定したからといって、5分で乗り越えられるわけがない」と鼻で笑った。

 しかし数日後、僕は初めての「連絡なしのドタキャン」を経験した。ある女性に商品説明を行う予定で、45分運転して彼女の自宅に到着したが、誰も家にいなかった。ドアに「申し訳ありませんが、セールスは不要です!」というメモが貼られていた。

 なんてことだ、信じられなかった。電話でアポをキャンセルするくらいの礼儀も示さないなんて。そのせいで僕は、はるばる彼女の自宅まで車を運転してきて、時間とガソリンを無駄遣いした。

 車に戻って携帯電話をつかみ、タイマーを5分にセットし、こんなに遠くまで運転をさせて約束を破った非礼について考えた。時間をムダにし、別のアポを入れられなかったせいで失った収入について考えた。売り上げ目標を達成できないのではと心配した。誰に報告しようか、どうやったらドラマチックにこの事件を話せるだろうかと考えた。あなたにも身に覚えはないだろうか?

 でも、突然、携帯電話のアラームが鳴り、僕はびくっとした。アラームを切って、「まだ腹が立つ!」と声に出した。5分では怒りを鎮めるには十分ではない、と思った。

 それでも数週間、僕は「5分ルール」を試し続けた。失うものはないからだ。

 すると驚いたことに、大きな効果が現れはじめた。