完全にがっかりして電話を切り、反射的にタイマーを5分に設定した。

失敗を引きずるくらいなら
そのリカバリーを考える

 画面の秒数が減っていく間、僕は現実に抗って怒っていた。信じられない、彼女がキャンセルしたなんて!愚かな夫め、僕の説明を聞いたら彼女と同じくらい商品を気に入ったはずなのに!最悪だ。これが現実でなければいいのに……。

 でもこれが現実だ。
 そして、僕には変えることができない。
 さあ、これからどうする?

 僕にできる唯一の論理的な選択は、現実に抵抗するのをやめて、彼女がキャンセルしたことと、今週の目標を達成できなかったことを受け入れ、自分にコントロールできることだけに集中すること。つまり、明日の朝起きて、電話をかけてアポを取ることだ。

 僕は深呼吸し、息を吐きながら声に出して「それは変えられない」とつぶやいた。

 緊張が和らぐのを感じ、携帯電話を取り出して5分間のタイマーを見た。

 残り4分32秒。

 そこで僕は思った。「あと4分半も動揺したままでいる意味なんてない。今、現実を受け入れれば、穏やかな気持ちになって先に進むことができるのに」

 タイマーをオフにして、ほっと一息つくと、エネルギーが湧きあがってきた。

 僕は自分の内面をコントロールできるようになったのだ。まるで超能力を得たような気分だ。人生に起こるどんなことも受け入れ、抵抗するのをやめ、すぐに心穏やかになれる能力を、僕は備えている。

気持ちを切り替えるのに
5分は長すぎる

 現実に抵抗して自分を動揺させるか、現実を受け入れて完全に心穏やかでいるか。選択は明らかだ。「5分ルール」を始めてわずか数週間で、「5分では時間が足りない」から「5分も必要ない」に変化したのだ。

「5分ルール」を使うと、感情を味わう余白を自分に与えてから、受け入れる時点に到達できる。

 最終目標は、現実に抵抗するのをやめ、人生をあるがままに受け入れることだ。変えられないことに長期間こだわらず、自分に余裕を与えることができる。