バズりは演出できる――平将明デジタル大臣「怒りの初速は機械が付ける」

 3回に分けてお送りしている平将明衆議院議員(デジタル大臣)インタビュー。第1回は「能動的サイバー防御」、第2回は「AIフレンドリー国家」をお送りした。最終回となる今回は、いま最も危うく、また最も日常的な部分に踏み込んでいこう。「選挙+SNS」というホットな話題。キーワードは……「バズりは演出できる」である。

 SNSのアルゴリズムは“初動”に敏感だ。その設計を狙って突いてくる者がいる。怒りの“増幅装置”として作動するボットアカウント。生成AIが崩した“日本語の壁”。そして民主主義に対する攻撃から守る体制の不在。

 見えない戦場で、日本はどこまで備えているのか?詳しくお話を伺った。

デジタル大臣、デジタル行財政改革担当大臣、行政改革担当大臣、国家公務員制度担当大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革)、サイバー安全保障担当大臣、内閣府特命担当大臣(サイバー安全保障)衆議院議員 平将明氏デジタル大臣、デジタル行財政改革担当大臣、行政改革担当大臣、国家公務員制度担当大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革)、サイバー安全保障担当大臣、内閣府特命担当大臣(サイバー安全保障)衆議院議員 平将明氏 Photo:Diamond

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F)F:「バズりは演出できる」とのお話ですが、いまひとつピンと来ません。実際のところはどうなのでしょう?

デジタル大臣、内閣府特命担当大臣(サイバー安全保障)平将明(以下、平):バズりの演出は明確に可能です。そして日常的に起きています。

 SNSで起こる怒りの“初動”は、機械で人工的に作り出すことができるのです。X(旧Twitter)などで、極端な主張が短時間に大量の“いいね”やリポストを獲得する。人はこれで「世の中の空気が動いている!」と錯覚してしまう。

 でもこの“動き“の最初の勢いは、ボットの一斉行動で人工的に作ることができるんです。数百、数千もの偽アカウントがプログラムでワッと反応し、「人気の兆し」を演出する。アルゴリズムは初動に敏感だから、通常なら届かない層である一般ユーザーのタイムラインにも、それが載ってしまう。次の段階ではそれを読んだ本物の人間が拡散に参加して、炎上は自走を始めることになる。

SNSにおける情報拡散工作手順その1SNSにおける情報拡散工作手順その1(提供:平将明氏) 拡大画像表示
SNSにおける情報拡散工作手順その2SNSにおける情報拡散工作手順その2(提供:平将明氏) 拡大画像表示
SNSにおける情報拡散工作手順その3SNSにおける情報拡散工作手順その3(提供:平将明氏) 拡大画像表示

平:民主主義は「自由に考えて投票する」という繊細な前提で成り立っています。そこに外部から“怒りの初動”を与える装置が入ると、判断の地盤が緩むんです。これは陰謀論でも何でもありません。SNSの仕組みの話、運用の話です。“最初の5分、10分”を誰が握るかで、その後の可視性と信憑性が決まってしまうんです。