生成AI時代となった今、「日本語の壁」はもう守ってくれない
F: それを今までは言語が守ってくれていた。でも「日本語の壁」はもう守ってくれない。
平: そう捉えるべき時期です。生成AIは“自動プロパガンダ装置”にもなり得る。極端なナラティブや陰謀論を“それっぽく”整形し、無限に量産できる。人手はいらない。
F:これからどうなるのですか。なんか現状は「やられ放題」という感じですが。
平:我が国としても対策を検討する必要がありますが、その際、諸外国の取組が参考になると思います。オーストラリアは外国勢力からの干渉に備え、対外干渉対策タスクフォースや選挙完全性保証タスクフォースを政府内に常設し、平時から監視と警告を回しています。
スウェーデンは「心理防衛庁」という、いわばメンタルの防衛省”を置き、SNSのプロパガンダを国家的干渉として国民にアラートできる仕組みを作っています。
F:心理防衛庁!まるでSFの世界ですね。
平:すべてリアルのお話をしています。英国の“Foreign Interference Threat Centre”、EUの欧州民主主義行動計画も方向性は同じです。共通点は「民主主義は攻撃対象である」という前提を国家が引き受け、制度で守るということです。
F: 日本には同種の司令塔がまだないのですか?
平: 重要インフラを守る法と体制は整いつつありますが、選挙と世論空間という“目に見えない制度”を守る常設の司令塔は残念ながら脆弱です。だから私は、日本でも“民主主義の防衛庁”に相当する組織を作るべきと考えています。選挙期だけでなく平時からモニタリングし、ナラティブ戦への注意喚起を出し、教育・啓発まで含めて回す。攻撃は選挙期間中だけではありませんから。
F:確かにそれは必要ですね。