血行を妨げ、眠りを浅くする「圧迫感」

硬すぎるマットレスに横たわると、体の凸部分である肩甲骨やお尻に体重が集中してしまいます。この「圧迫」が血行不良を招き、しびれや痛みの原因になることも。

すると、私たちの体は無意識に圧迫から逃れようとして何度も寝返りを打ちます。これでは深い眠りに入ることができず、朝起きても「なんだか疲れが取れない…」という状態に陥ってしまうのです。

腰痛改善のために選んだはずが、かえって睡眠の質を下げてしまっては本末転倒です。

目指すべきは「硬さ」ではなく「フィット感」

では、一体どんなマットレスを選べば、私たちはぐっすり眠れるのでしょうか。答えは、硬いか柔らかいかという二元論ではなく、「自分の体に合っているか」という、当たり前だけど見逃しがちな視点を持つことです。

理想は、マットレスが体の凹凸に合わせてフィットし、体圧をバランスよく分散してくれる状態。重いお尻や肩は適度に沈み込み、隙間ができやすい腰はしっかりと支えられることで、背骨が自然なS字カーブを描きます。

この「理想の寝姿勢」を保てると、体の一部に負担が集中することなく、全身の力を抜いてリラックスできます。血行もスムーズになり、深い眠りへと自然に誘われるのです。

「自分だけの一枚」が最高の休息をくれる

高価なマットレスが必ずしもあなたに合うとは限りません。大切なのは、ご自身の体重や体格を理解し、実際に横になって試してみることです。寝返りがスムーズに打てるか、どこか窮屈に感じないか、短い時間でもいいので体をマットレスに預けてみてください。

あなたにぴったりの一枚は、まるでオーダーメイドの服のように体に馴染み、一晩中あなたを優しく支えてくれます。

腰の不安から解放され、ただひたすらに心地よい眠りに集中できる夜。そんな最高の休息を手に入れることが、明日を元気に過ごすための何よりの特効薬になるはずです。

※本稿は『とにかくぐっすり眠りたい 老舗ふとん店の12代目がこっそり教える快眠法60』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。