
今夏こそダイエットするぞと食事制限を始めても、なかなか体重が落ちない――。そんな苦い経験はありませんか。ノンフィクション作家でジャーナリストの笹井恵里子さんが多くの研究者に取材した結果、「食べる量」を減らさなくても「ラクに確実に痩せる」コツがあると言います。また、多くの研究者の見解が一致した、毎日食べると「太りにくくなる」ものとは?(ノンフィクション作家・ジャーナリスト 笹井恵里子)
「食べる量」を減らさなくても
ラクに確実に痩せる方法があった
ラクに確実に痩せるコツ――多くの研究者に取材し、私自身も実践してきたが、それは「食べる時間を管理すること」だと断言できる。「食べる量」は減らさなくていい。「食べる時間」を意識するのだ。
具体的には「朝食から夕食までを10~12時間以内に収めるようにする」ことがポイント。これによって残りの12時間は空腹を感じづらくなり、体重が落ちていく。しかもこの習慣は、運動トレーニングや糖質制限と比べると、1年後の定着率が高いことがわかっている。
農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)上級研究員の大池秀明氏がこう説明する。
「12時間以内に3食を食べると、“活動時間帯当たりの食事量”が多くなりますね。ですから空腹を感じにくくなる。また夕飯から就寝まで3~4時間空けるとなおいいでしょう。睡眠の質が深くなり、夜に食欲が低下することがわかっています」
ダイエットにあたり、夜の食欲コントロールは意外と重要な要素。大池氏によると、「食欲を増進させる『グレリン』というホルモンのリズムを計測した研究では、朝に分泌が少なく、夕方から夜にかけて高くなっていくと報告されています。それが食欲の感覚とかなり相関している」という。つまり通常、人は朝に食欲が起きにくく、夜にかけて高まっていくのだ。
「ところが血糖値を下げるインスリンは朝に効きやすくなるため、朝食では糖質を食べても血糖値が上がりづらいのですが、反対に夜になるほどインスリンが効きにくい。ですから例えば、同じ食事を朝・昼・夕と取れば夜が一番血糖値が上がってしまうのです」(大池氏)