丁寧に意見を扱っても
「聞いてないよ!」は避けられない
この過程を怠り、急に新しい制度や業務フローを導入すると、どうしても反発が生まれます。古参社員にしてみれば、自分たちが大切にしてきた価値が軽視されたと感じてしまうからです。
このように、違和感は単なる抵抗反応ではなく、組織の持つ価値を守り、発展させるための重要な情報源として活用できるものなのです。
ただし、どれだけ事前に丁寧な個別インタビューを実施し、アンケートを取り、情報を収集し、「会社はこれから変わっていかなければなりません」という意識の醸成を図っても、いざ変化が実行される段階では、冒頭のように「聞いてないよ!」という声が上がってくることは避けられません。
これに対して人事担当者は「いやいや、何度も面談や説明会を設けてお話ししましたよね」と反論することになりますが、この時のために、それまでの面談や、話し合いの全ての経緯を記録として残しておくことが重要です。いつ、どのような形で情報を伝えたかを明確にしておけば、後で問題になった際に冷静な対応が可能です。
いずれにせよ、重要なのは、古参社員の持つ組織への忠誠心や貢献を適切に評価することです。そういう人がいて会社に愛着を持ち、これまで貢献してくれたからこそ、ここまで組織は発展することができたのです。その実績と忠誠心を無視してはなりません。
古参社員を厄介者として扱うのではなく、組織の貴重な財産として認識し、彼らの持つ組織への深い理解と愛着を、適切に活用することで、組織の変革において強力な推進力に変換できれば、これほど心強いことはないでしょう。
