離婚の証拠集めに協力
「これで最後になるなら」

 沙百合さんから状況を聞き取ったとき、寿々さんの話をどこまで信じて良いのか迷いました。沙百合さんにお願いをして寿々さんともオンラインでお話しさせていただきました。沙百合さんに語った内容を再度伺いましたが、疑いを抱くような点はありませんでした。

 私が寿々さんに期待した、真蔵の不貞を立証できる証拠の写真やメッセージなどは持っていませんでした。

 沙百合さんとも協議した結果、寿々さんの協力を仰ぐしかないということになりました。それは、真蔵が寿々さんに対して行動する一部始終を撮影することでした。

 寿々さんは限界を迎えていましたが「近々誘いがあると思います。これで最後になるなら」と協力を約束してくれました。

 私は真蔵から寿々さんにメッセージが来るのを待ちました。すると「明日の夜に行く、拒めば契約は終わりだ」といった、人としての温もりが一切ない、己の欲にまみれたメッセージが来ました。

 寿々さんの自宅周辺に張り込み、真蔵が来るのを待ちました。

 そして、決定的瞬間を捉えました。

 真蔵は調査開始後30分ほどして現れ、大胆にも3階建てのアパートの自宅玄関前でたばこを吸いながら、寿々さんの帰りを待ったのでした。子どもを連れて帰宅した寿々さんは、「別の日にしてください、子どもの体調が悪いんです」と追い返そうとしましたが、真蔵は「ちょっとしたら帰るから」と強引に上がり込みました。

 抵抗虚しく、大泣きする幼い子どもをあやしながら寿々さんは玄関を閉めました。その後10分ほど子どもの泣き声はやみませんでした。

 撮影された一部始終は、単なる不貞ではなく「強要」に近い実態を如実に物語っていました。

 沙百合さんは、証拠を携えて離婚調停と慰謝料請求に臨みました。

婚姻期間:12年
子ども:2人(未成年)
浮気の期間:半年以上

 これらを総合的に考慮した結果、裁判所は沙百合さんの300万円の慰謝料請求を認めました。

 加えて真蔵には養育費の支払い義務も課せられました。

 一方で、寿々さんへの責任追及はされませんでした。