ご結婚されていて、お子様もいらっしゃることは知っていましたので、私は応じました。指定されたレストランの席に着いて、お酒も飲みながら食事している中で、川野さんの態度が徐々に変わっていきました。『君には仕事仲間以上の感情がある。より良く仕事するために君との距離を縮めたい。応じなければ更新を考え直す。拒めば子どもとの生活が成り立たなくなるのでは?』と川野さんは権限を利用して私に『愛人になれ』と迫ってきました」

夫の狂気の一面
すぐに離婚を決意

 沙百合さんは、全く知らなかった真蔵の狂気の一面を想像して、気分が悪くなってきました。寿々さんの話は続きました。

「川野さんから時間がたつと自動的に痕跡が消えるメッセージアプリでのやりとりを指示され、週に一度くらいのペースで関係を強要されました。1カ月ほどすると誘いの回数が増えていきました。子どもがまだ4歳なのでと、なるべくやんわりと断ってきましたが、やがて自宅の前で待ち伏せされるようになりました。川野さんは強引に家に上がり込んできました。

 もう私は逃げることができないんだという恐怖がありましたが、子どもを養わないといけないという思いでなんとか頑張りました。でも、もう限界だと思って手紙を書きました。川野さんは、私が反抗することはないだろうと、高をくくっていたのだと思います。会話の中で住んでいる場所の話をされていて、私も以前その付近に住んでいたので、およその住所は見当がつきました。ご自宅は難なく見つかり、川野さんがいない時間帯を見計らってポストに投じました」

 時に号泣しながら言葉を詰まらせる寿々さんの話を聞き終えた沙百合さんは、怒りと嫌悪でこめかみが熱くなりました。

「夫は、私を裏切っただけじゃない。弱い立場の女性を利用して、子どもの人生まで脅かしていた……。もう、人として許せない。そんな人を愛する子どもたちに、お父さんと呼ばせたくない」と沙百合さんは即座に離婚を決意しました。

 同時に、専業主婦として生きてきた自分と、子どもたちの生活を守るために、親権と慰謝料請求の裁判で勝つために必要な証拠を集めるべく、私に相談してきたのです。