「既婚を知っていた」事実はあったものの、立場上断れない事情、強い被害者性が認められたからです。
判決が出た後、3人の人生は大きく変わりました。
女性たちの再起
会社を解雇された夫は
沙百合さんは2人の子どもと新しい生活を始めました。
「夫が出ていった後の自宅の名義や住民票・保険・銀行やその他多くの変更届の雑務など初めてのことが多くとても大変でしたが、子どもを守るために私自身が強くなれました。正しい選択をしたと思っています」と晴れ晴れとした笑顔で話してくれました。
離婚後は実家のサポートを受けながらパートを始め、少しずつ自立の道を歩み始めました。
寿々さんは強要に苦しんだ日々から解放された後、自分にも真蔵に甘えていたふしがあると思い返し、訴えるまではしませんでした。
「自分一人で抱え込まず、勇気を出して沙百合さんに連絡したことが救いになりました。私自身も怖かったですが、子どもはその何倍も怖かったと思います。もうそんな思いをさせたくありません。誰にも影響されない母親になります」と吹っ切れた顔で話してくれました。
今は子どもとの時間がより多く取れるように、リモートワークでエンジニアの仕事を続けながら、地域のシングルマザー支援団体と関わり、同じように悩む女性を支える活動も始めたそうです。
一方の真蔵は、寿々さんへの不適切な行為が明るみに出て問題視され、退職せざるを得ませんでした。新たな地で転職をして真面目に働いているそうです。
「自分の行為が人をどれだけ傷つけたか、本当に申し訳ないことをした」と本気で反省したようで、慰謝料と養育費の支払いが遅れることはないそうです。
今回の調査は、単なる不貞調査ではありませんでした。
人の立場を利用し断れない状況に追い込み、恐怖で支配するというその姿はストーカーにも似ていました。
寿々さんが夜道で何度も後ろを振り返る姿、おびえる子どもの声、そして沙百合さんの絶望的な表情。
それらが今も私の記憶に焼き付いています。
「浮気の慰謝料は数十万円から300万円」と、数字で語られる世界の裏側には、こうした人間の怖さが潜んでいるのです。
そして、今回救いだったのは、被害者同士である沙百合さんと寿々さんが互いに協力できたことです。
もしあの時、寿々さんが一人で抱え込み続けていたら、もしあの時、沙百合さんが「浮気相手」とだけ決めつけていたら、結末はまるで違っていたかもしれません。
不安や悩みを抱えている方がいらっしゃったら、片岡探偵事務所にご相談ください。
「恐怖と不安から解き放つ探偵」。点と点が線になる探偵トークでした。
※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。