インドに迫るトランプ関税の打撃Photo:Andrew Harnik/gettyimages

 インドの財界と政界はドナルド・トランプ米大統領の就任時、トランプ氏とナレンドラ・モディ首相との親密な関係を考えれば、その後の対米関係が友好的なものになると予想していた。

 ところがトランプ氏はインドに敵対的な姿勢を示し、同国の輸出品に高い関税を課した。この関税によって何十億ドル分もの貿易が打撃を受け、繊維産業から養殖業に至るまでさまざまな業界が損害を受ける見込みだ。

 インドに対する米国の50%の関税は、27日に発動された。これは、両国が通商協定で合意に達しなかった8月上旬に米国が発動した「相互関税」25%と、インドによるロシア産原油の大量購入への制裁として今週上乗せされた25%の関税を合わせたものだ。トランプ氏は、インドの原油購入によってロシアはウクライナでの戦闘を続けられていると主張している。

 インドはトランプ氏を批判するのを控えてきたが、モディ首相は最近の演説で国家主義的なトーンを打ち出し、国民に対して自国製品の購入と同国のさらなる自立の促進を呼び掛けた。モディ氏はまた、インドの農家を支えると約束した。米国は通商交渉で自国の農産品のインド市場へのアクセス拡大を求めていたが、これはインドにとって譲れない一線だった。

 最初の25%の関税が発動された今月上旬、モディ氏は演説でヒンディー語のインドの国名に言及し、「バーラトは農家や畜産業者、漁業者の利益に関し、決して妥協することはない」と表明した。「そして私は自ら極めて重い代償を払わなくてはならないかもしれないことを十分に分かっているが、その覚悟ができている」

 新たな関税は、アパレルメーカーや家具メーカー、エビ養殖業者やダイヤモンド取引業者など、インド最大級の輸出業者にとって大打撃だ。

 ニューデリーの貿易調査・コンサルティング会社グローバル・トレード・リサーチ・イニシアチブ(GTRI)の創業者アジェイ・スリバスタバ氏の分析によると、新たな関税は、インドが米国に輸出する約900億ドル(約13兆2000億円)相当の物品のおよそ3分の2に適用される。医薬品やアップルの「iPhone(アイフォーン)」などの電子機器を含む約300億ドル相当の物品は、さまざまな例外措置の対象になる。電子機器がインドの輸出品に占める割合は増えている。