「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

Q.集中しようと思っても、つい気を取られてしまいます。
集中しなければいけないことがあるのに、テレビや音楽を聴きながら取り組んでいると、つい気を取られて注意力が散漫になってしまいます。そうならないための効果的な方法はありますか?
注意力が散漫な状況の方が集中できることも
井上新八氏(以下、井上氏) ぼくは、作業中はドラマやアニメをずっと流すようにしています。
これは、ぼくは注意力が散漫する状況の方が集中できるという特性があるからです。
例えば、勉強するときにカフェに行く人っていますよね。それと同じだと考えてください。
――ドラマやアニメ以外に、音楽とかは流さないんですか?
井上氏 ぼくの場合、音楽はね、ダメなんですよ。なぜかテンションを持っていかれるんです。音楽に引っ張られるんですよね(笑)。
ドラマやアニメといった映像とは違って、音楽って音だけで情報が完結してしまうじゃないですか。それもあって、完全に意識が集中してしまうんだと思います。
――じゃあやっぱり、つい音につられて注意力が散漫になってしまう人は、音楽を聴いたり、テレビを見ながら取り組むというのはやはりやめた方がいいんですかね?
「レーザー・サウンドトラック」を流す
井上氏 『とっぱらう』に元グーグル社員が実践していた「レーザー・サウンドトラック」を流すという戦術があると思います。
何をサウンドトラックにするかと考えるときは、大好きだけど、それほどよくは聴いていない曲を思い浮かべるといい。そしていったん選んだら、レーザーモードに入りたいときだけ、その曲を聴くようにする。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より
井上氏 ぼくは仕事中は映像を流しているのですが、「感情を揺さぶられすぎない程度の刺激を流す」という点においては『とっぱらう』のこの戦術と同じだと思います。
恐らく、好きな音楽やテレビであればあるほど、その世界に没入してしまい、仕事の集中力が妨げられてしまうと思うんです。
だからこそ、音楽やテレビを流さないようにしようと無理に我慢するのではなく、自分が夢中になりすぎないものを選ぶのが効果的だと考えています。

1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
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