「認知機能が衰えにくい人」が定期的にやっていること、週に2時間でOK【51歳以上3万人調査】写真はイメージです Photo: PIXTA

他者を手助けする活動で
認知機能の低下速度が緩やかに

 年齢を重ねても脳の健康を維持したい人は、定期的に地域や近所でボランティア活動を行うか、友人や家族を手助けすると良いようだ。そうした他者を手助けする活動を定期的に行っている人では、その活動が公式か非公式かにかかわらず、加齢に伴う認知機能の低下速度が緩やかであることが、新たな研究で示された。

 米テキサス大学(UT)オースティン校人間発達・家族科学分野のSae Hwang Han氏らによるこの研究の詳細は、「Social Science & Medicine」10月号に掲載された。Han氏は、「組織的なものであれ個人的なものであれ、日常的に他者を手助けすることは認知機能に永続的な影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

 この研究では、1998年から2020年の間にU.S. Health and Retirement Study(全米健康と退職研究)に参加した米国の51歳以上の成人3万1303人のデータを用いて、他者を手助けする役割の変化やその活動時間の増減が認知機能にどのように影響するのかを検討した。

 他者を手助けする役割は、公式なボランティア活動と、家族や友人を手助けする個人的な援助に分けて検討した。個人的な援助の例は、友人の医療機関受診の予約を取ることや、ベビーシッターをすることなどである。

 その結果、公式なボランティア活動か個人的な援助かを問わず、他者を助ける活動を始めた人では、そうした活動をしていない人に比べて認知機能が高く、加齢に伴う認知機能の低下がより緩やかであることが明らかになった。