なぜ相続してもプレーできない? お金だけでは越えられない名門ゴルフ場の「厳しい掟」
相続は誰にでも起こりうること。でも、いざ身内が亡くなると、なにから手をつけていいかわからず、慌ててしまいます。さらに、相続をきっかけに、仲が良かったはずの肉親と争いに発展してしまうことも……。そんなことにならにならないように、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)の著者で相続の相談実績4000件超の税理士が、身近な人が亡くなった後に訪れる相続のあらゆるゴチャゴチャの解決法を、手取り足取りわかりやすく解説します。本書は、著者(相続専門税理士)、ライター(相続税担当の元国税専門官)、編集者(相続のド素人)の3者による対話形式なので、スラスラ読めて、どんどん分かる!【親は】子に迷惑をかけたくなければ、【子どもは】親が元気なうちに読んでみてください。本書で紹介する5つのポイントを押さえておけば、相続は10割解決します。
※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

親のゴルフ会員権を相続して待ち受ける
意外な落とし穴とは?

お金だけでは越えられない
「入会審査」という関門
国税書夫(以下、国税) お金がかかることを考えると、ゴルフをやる人がゴルフ会員権を相続したほうがいいですよね。
前田智子(以下、前田) はい。ただ、相続人だからといって、必ずゴルフ会員権を行使できるわけではないです。ゴルフクラブごとに入会審査があるので、会員権を相続しても入会できないケースがあります。
相続したのにプレーできない?
名門クラブの厳しい掟
ゴルフクラブは名門になればなるほど、入会審査が厳しくなります。たとえば男性会員しか入会できないゴルフクラブの会員権を、女性が相続したとなると、その会員権は実質的に使えなくなります。
プレーしないなら「売却」一択?
でも、その前に…
国税 ゴルフをしない人や、入会できない人が会員権を相続したら、売却するしかありませんか?
前田 はい。ただし、売却するためには、基本的にはいったん相続人の名義に変更する必要があるので、やはり名義変更料を払わなくてはいけません。
希望価格で売れるとは限らない
シビアな売却の現実
この手続きが済めば、会員権の仲介業者などを通じて売却できます。とはいえ、売りに出したとしても、希望額で売れるとは限らず、売却手数料として取引価格の2~3%程度は支払わなくてはいけません。
バブルの夢、今は昔
売却損はもう取り戻せない
国税 そういえば私が国税職員だった頃、ゴルフ会員権を売却して、売却損を確定申告して還付金をもらうケースが多かったです。でも、法改正があって今は売却損を確定申告できませんよね。
前田 そうです。なかには買ったときよりも、数千万円単位で損をしている人もいると思いますが、残念ながら泣き寝入りになります。
最後の望み?
預けたお金は返ってくるのか
また、預託金制のゴルフ会員権の場合、「償還」という手続きをすることで、ゴルフクラブに預けた預託金を返してもらえる可能性があります。
もっとも、昨今は多くのゴルフクラブが経営状態の悪化から預託金を返せなくなっており、返還されるかはなんとも言えません。
ゴルフ会員権の相続はどうする?…名門の会員権なら数百万円単位の出費を覚悟
※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。