
「母子家庭」「非課税世帯」からハーバード大へ。『パックンの森のお金塾 こども投資』を上梓した、パックンが語る、逆境を乗り越える哲学。奨学金をわずか2年で完済し、貯金10万円から投資を始めた原動力、そして成功へ導いた驚きの「井の中の蛙」戦略とは? 学歴や常識に縛られず、貧乏さえも強みに変えてきた彼の生き方から「本当のレジリエンス」を学ぶことができる。(構成/田之上 信)
非課税世帯出身のパックンが
“エリート”になるまで
――そもそもパックンさんが投資に興味を持つようになったきっかけは何だったのでしょうか。
子どもの頃から親に投資の話を聞いていました。10歳くらいのクリスマスに、近所の友だちみんなが自転車やゲームなどのプレゼントをもらっているときに、その中の一人は株式をもらったんですよ。コカ・コーラ社の。
午後、みんなでプレゼントを見せ合うんです。で、それを見た友達はみんな「何コレ?」って(笑)。
僕は母子家庭で、納税ライン以下の所得だったため、母は、いつかは税金を払えるようになろうね、その次は投資もできるようになろうねと、話すこともありました。
母は生命保険のセールスや出版社の校閲係などいろいろな仕事を転々としていました。僕が高校のときに、大学院にもどり教育の修士号を取って小学校の教員になり、ようやく仕事が安定しました。そのころから母は預貯金を投資に回すようにしていました。だから投資のお手本はごく身近にいたのです。
――実際に投資を始めたのは、来日してからでしたね。
そうです。僕は大学卒業の直後に日本に来て、最初に福井市内の英会話学校の講師になりました。当時の給料は手取りで約20万円でしたが、毎月10万円くらいを大学時代に借りた奨学金の返済に充てようとしていました。