
中学受験の情報戦は本番ギリギリまで錯綜する。SNSで自称塾講師や受験経験者のアカウントなどが呟く「今年おすすめの併願校は○○です!」という情報は本当なのか? 有象無象の「入試前のマル秘や裏の学校情報」に振り回されないために知っておくべき併願校の基礎知識と、“超”期間限定のおすすめ校が生じるカラクリなどを解説する。(国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー 渋田隆之)
信憑性に欠ける“おすすめ校”情報
中学入試を間近に控えた秋以降には「おすすめ校はここだ!」という情報が増えてきます。
第一志望への合格の手応えがない時期にこうした情報に頼りたくなる保護者の気持ちもよくわかります。また、「入試の最中に不合格で辛い思いをしたくない」「少なくとも全落ちはさせたくない」という愛情から少しでも有利な情報を得たいという気持ちもよくわかります。
ただし、30年以上も中学受験業界で仕事をし、20年間塾の責任者を務めた私は、「それらの情報は信憑性に欠けるものが多い。絶対に、惑わされないでほしい」と強く思っています。
なぜなら、「必ず的中する競馬の予想」「必ず儲かる株の紹介」と同じく、誰もが簡単に手に入るおいしい情報はないからです。
(1) 誰も知らないお得な情報は、存在するのか?
ネット環境がなかった昭和時代では、学校情報は紙媒体のパンフレットか、実際に学校に足を運んで入手するしかありませんでした。
その時代であれば、塾と家庭の情報格差は考えられます。しかし、ネットで簡単に情報が手に入る現代では、むしろ家庭の方が情報を持っていることが考えられます。特に、兄姉がその学校に在籍しているような状況では、家庭の方が情報通であることがほとんどです。
だから、ごく一部を除き、塾や家庭教師、もしくは教育コンサルタントの「その人しか知らない裏情報」などは存在しません。また、学校がその人だけにしか「裏」を教えないということも学校として信用を失うのでデメリットしかありません。