デキる上司の「結果を出す技術」写真はイメージです Photo:PIXTA

部下や若手社員を指導する上では褒めることが重要だとよくいわれます。しかし、ただ褒めればいいというわけではありません。部下のモチベーションを上げるどころか、信頼も失いかねない「薄っぺらい褒め言葉」と「刺さる褒め言葉」にはどんな違いがあるのでしょうか。(SmileWords代表 ひきたよしあき)

AIの褒め言葉が
「なんか物足りない」ワケ

 Chat GPTを使う学生たちの中には、「沼から抜け出せない」「ほぼ、恋してる」と語る子がいます。

 悩み相談も占いも、果ては自分をヒロインにした小説まで書いてもらっている。自分の意見を批判したり、反論したりしてこないAIは、彼らにとっては、自己肯定感を高めてくれる心の友だちなのでしょう。

 最近、ChatGPTがバージョンアップしたと同時に、「応対がつれなくなった」と言ってしょげている学生を見るにつけ、これからのコミュニケーションがますます複雑になっていく予感がします。人間同士のつきあいも、これまで以上に大変になることは間違いありません。

 しかし、中にはこんな声も聞こえてきます。

「生成AIの褒め方って、薄っぺらいでしょ。あれをずっと見ているおかげで、薄っぺらい褒め言葉と、本当にうれしい褒め言葉の違いがわかるようになりました」

「よい意見ですね」「鋭い指摘ですね」「面白いですね」などと頻繁に褒めてくれる生成AI。

 はじめのうちはこうした言葉もうれしいかもしれません。それは、うれしい気持ちを高めてくれるドーパミンが分泌されるから。一瞬、行動エネルギーに火がつくのです。

 しかし、ドーパミンの快楽は、一瞬にして消えてしまうもの。相手が、自分のことを深く理解しないで言っていると判断すると、違和感や不信感が生じてきます。

 これが、薄っぺらい褒め言葉の正体です。

 つまり、相手の努力や状況を考えず、「よくやった」「すばらしいね」などと言い続けていると、相手はうれしいばかりか、不快に感じてしまう。

「この人は、ただ私をチヤホヤ持ちあげているだけだな」

 と思われてしまうのです。

 部下をがっかりさせるだけでなく、上司の人間性すら疑われてしまいます。

 では、「心に刺さる褒め方」とはどんなものでしょうか。