
フロントに大きな「VW」の丸いロゴ、まん丸のライト……フォルクスワーゲンの「Type2(ワーゲンバス)」は、キッチンカーやコーヒーカーなどとして日本でもよく使われている、かわいらしいバンです。そのワーゲンバスを電気自動車にして復活させたのが、日本でも6月から販売が始まった「ID.Buzz」。Type2のポップでかわいらしいデザインを継承しているのですが、トレードマークの丸目ではなく、ライトはキリッと切れ長のデザインになりました。丸目ではない理由と、個人ユーザーに人気なのになぜ商用車ブランドで製造・販売しているのか、そのあたりを聞きました。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)
日産キャラバンを中古で買いました
みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。
宮崎のサーフィン用に、新潟の中古車店で買った日産NV350キャラバン。フェリーで宮崎に運んできました。

バイクを積んでいたので「窓を開けておいた方がいいですよね?」と聞くと「いえ、閉めたままで大丈夫です」と。何年か前に横須賀―門司間のフェリーにハイエースにバイクを積んで乗ったときに、洋上で携帯に電話がかかってきて「すぐにクルマに戻ってください!」と呼び出された経験があるのです。「車内に揮発ガスが充満して爆発の危険がありますから、バイクを積んでいる場合は必ず窓を開けてください」と。その説明をすると、「いえ。ウチの船にそうした規則はありません」と。船会社によって、安全基準も違うものなんですな。


このフェリーは19:10に神戸を出港し、翌朝08:40に宮崎に到着します。乗船してひと風呂浴びて食事を済ませ軽く飲んでそのままバタン。目が覚めれば宮崎に着いている、という流れ。極めて時間効率がよろしい。

宮崎フェル宅は、宮崎港からクルマでわずか3分。バイクを下ろしてルンバを回して波乗りの支度をして、10時過ぎには海に入ることができました。キャラバン、これから宮崎で使い倒そうと思います。

ということで本編へとまいりましょう。
現代版フォルクスワーゲンType2。「ID. Buzz」のインポーターインタビューです。
名車「Type 2」(ワーゲンバス)をEVでよみがえらせた「ID.Buzz」
1950年に誕生したフォルクスワーゲンType 2、通称“ワーゲンバス”のDNAを受け継ぎ、完全電気駆動でよみがえらせたのが「ID.Buzz」だ。ヨーロッパでは2022年から量産されているが、日本での販売は今年の6月に始まったばかりである。今回はインポーターインタビューということで、フォルクスワーゲングループ ジャパンの沢村武史さんにお話を聞いていく。

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):1000キロほど走ってみて、ID. Buzzがとても良いクルマであることを実感しました。静かで快適で、運転のストレスも少ない。EVとしての完成度は非常に高いと思います。ただ、ちょっと惜しいなと思った部分があります。往年のフォルクスワーゲン Type2を思わせながら、どうして“丸目”にしなかったのでしょう?単体で見ると「復活した」と思うデザインなのに、Type2と並べて見ると実は全く似ていない。丸目にしたらよりウケたと思うのですが、なぜそうしなかったのか。
フォルクスワーゲン グループ ジャパン ビジネスオペレーション本部 プロダクト・マネジメント課 シニアマネージャー 沢村武史さん(以下、沢):確かにそれは多くの方が口にされる疑問です。「可愛いけれど、どうして丸目じゃないのか」という声は、展示会でも販売現場でも必ず出てきます。実際、LEDライトを使えば丸目風の意匠を再現することは難しくありません。だからこそ、「なぜやらなかったのか」という疑問はとても自然なものだと思います。
この判断を理解するためには、ID. Buzzが企画された背景を少し振り返る必要があります。ID. Buzzがコンセプトカーとして登場したのは2017年。当時は、フォルクスワーゲンの新しい電気自動車ファミリーがちょうどこれから世に出るというタイミングでした。
F:ディーゼルゲート事件が2015年だから、その信頼回復を進めていた時期でもありますよね。最初のEVはゴルフでしたっけ?
※ディーゼルゲート事件…2015年に発覚した排ガス不正問題。フォルクスワーゲンはディーゼル車に違法ソフトウェアを搭載し、検査時のみ排ガス規制をクリアする仕組みを導入。実際の走行時は基準値を大幅に超える有害物質を排出していた。これによりヨーロッパの自動車メーカー各社は当時注力していたクリーンディーゼル技術からシフトし、一斉にEV化を進めることになった。