AIが「超格差社会」を生み出す。じゃあ人間は何をすればいいのか。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。これからの生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、誰でもできるプロセスとしてみなさんに共有する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

AIが「超格差社会」を生み出す。じゃあ人間は何をすればいい?Photo: Adobe Stock

技術革新がもたらす分断

 現代社会では、「努力すれば報われる」という物語が崩れつつあります。
 その背景にあるのが、加速度的に進む「超格差社会」の到来です

 経済的な格差だけでなく、教育、健康、情報アクセスといったあらゆる面での格差が拡大しています。
 本記事では、その背景と私たちが取るべき姿勢を考えます。

 デジタル化やAIの進展は、多くの恩恵をもたらしましたが、同時に格差を広げる要因にもなっています。
 高度なスキルを持つ人は新しい産業でチャンスをつかむ一方、従来型の仕事しか経験していない人は置き去りにされやすいのです

 テクノロジーが「勝者」と「敗者」を明確に分ける構造を加速させています。

教育格差と再挑戦の困難さ

 教育の格差も深刻です。

 質の高い教育を受けられる環境にある人は、よりよいキャリアを築きやすくなります。
 一方で、環境に恵まれない人が後からスキルを習得するには、莫大なコストや時間が必要です

 学び直しの機会が十分に整備されていない社会では、格差が固定化しやすくなります。

グローバル化と生活水準の差

 グローバル経済は豊かさをもたらす一方、地域や個人間での差を拡大しました。

 都市部では高収入の仕事が集中する一方、地方では雇用機会が限定される。

 さらに、生活コストの上昇が格差を広げ、若者の将来設計を困難にしています
 こうした構造は一国だけでなく、世界規模で同時進行しているのです。

 技術革新、教育格差、グローバル化などの要因が重なり、現代社会は「超格差社会」へと進んでいます。
 これは個人の努力だけでは覆せない構造的な問題です。

 だからこそ、焦らず自分の持ち場で小さな積み重ねを続ける「ゆるストイック」な姿勢が重要です。
 環境に翻弄されるのではなく、自分にできることを淡々と実践し、ゆるストイックに生きましょう。

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)は8.5万部を突破した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86をスタートさせた。