「人を育てるってコスパ悪いじゃないですか?」と言われる時代。どのように働けばいいのか。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。これからの生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、誰でもできるプロセスとしてみなさんに共有する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「人を育てるってコスパ悪いじゃないですか?」と言われる時代。どのように働けばいい?Photo: Adobe Stock

ハラスメント意識の高まり

 かつては「人を育てること」が美徳とされ、上司や先輩は積極的に後進を指導してきました。

 しかし現代では、そのスタイルが通用しにくくなっています。
 教育や指導に割くリソースの効率が悪化し、「指導はコスパが悪い」という時代に突入したのです

 背景を整理し、この環境でどう生きるべきかを考えます。

 近年、コンプライアンスやハラスメントへの意識が高まるなか、指導や教育の場面は慎重さを求められるようになりました。

 強い言葉や厳しい訓練は批判の対象になりやすく、組織はリスクを回避する方向に動いています。

 その結果、以前のように「手取り足取り育てる」スタイルは減少しつつあります

教育は「意欲がある人限定」に

 企業の教育リソースは限られています。

 そのため、現代では「やる気のある人にだけ注ぐ」傾向が強まっています。
 意欲の見えない人に手厚い指導を行っても成果が見えにくく、投資対効果が低いと判断されやすいのです。

 この流れは、結果として「本人次第」で格差が拡大する環境を生み出しています

自己管理の時代へ

 指導が縮小したからといって、成長の必要性が消えるわけではありません。

 むしろ、各人が自分を律し、成長の機会を自ら作り出すことが必須になっています

「指導されていないから成長できない」と考えるのは時代錯誤です。
 自己管理型の姿勢を持つ人だけが、変化の激しい社会を生き抜けるのです

 現代は「指導はコスパが悪い」と見なされる時代です。

 だからこそ、他者に依存するのではなく、自分自身の成長を自分で設計しなければなりません。
 小さな自分ルールを守り、淡々と積み上げる。

 その積み重ねが格差社会を生き抜く最大の武器になります。
 私たちもまた、自律的に学び続け、ゆるストイックに生きましょう

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)は8.5万部を突破した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。