
サントリーHDの新浪剛史前会長が辞任した。新浪氏は今は渦中の人だが、人材不足の昨今、ほとぼりが冷めた頃に“過去の経歴に問題のあった傷のある人材”を受け入れる企業が出てくるかもしれない。そうした場合、再発のリスクは伴う。企業は、どのようにリスク管理し、ガバナンスを担保すればいいのか、企業ガバナンスの専門家として考察する。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳)
仕事の実績は豊富でも、“経歴に傷のある人材”をどう捉えるか?
サントリーHDの新浪剛史前会長が、違法性が疑われるサプリメントの購入疑惑によって9月1日付けで辞任しました。一方で、経済同友会の代表幹事は辞任せず、活動自粛の処分にとどまっています。プロ経営者としての実績がある新浪氏は、ほとぼりが冷めれば、他の企業で再び経営陣に加わる可能性もなきにしもあらずです。
開き直りともとれる経済同友会の会見では、新浪氏はあくまで「潔白」を主張していました。サントリーHDの会長辞任も納得できない面があったのかもしれません。
「捜査中ではあるが、サントリーの場合はサプリメントも販売しており、会長という要職に堪えない認識」という、鳥井信宏社長のコメントも新浪氏に配慮しているように感じた人も多いでしょう。これでは、サプリメントを販売していない企業なら辞任する必要はないという意味にも受け止められます。
確かに三菱商事勤務を経て、ローソンを立ち直らせるべく同社の社長を経験するなど、これまでの新浪氏の活躍は一目瞭然です。今は渦中の人物ですが、その経営手腕に期待して、いずれは報酬を下げて新浪氏を役員に起用できるかもしれないと考える企業も出てくるかもしれません。
しかし、新たに迎え入れる場合は再発防止策と、そのリスク管理はどのようにするのでしょうか。
新浪氏の例だけではありません。深刻な人材不足の中、今後、“傷あり人材”でも採用する企業は増えるかもしれません。採用にあたり、企業はどのような対策をとればいいのでしょうか。