ベンチャーファンドを組成し、デジタル絵本アプリ開発会社に初出資したフジテレビ
Photo by Takeshi Kojima

 映画事業に続く収益の柱を立てるべく、フジテレビジョンがIT領域に本格的に足を踏み出した。

 今年1月にフジ・スタートアップ・ベンチャーズを設立し、15億円規模のファンドを組成した。

 ファンドとはいえ、短期的な利ざやが目的ではない。ITサービスと番組との連動など、現在の事業との相乗効果を出す狙いがある。

 その実態は、フジテレビ社員が兼務で担っているものの、「目利き力」は働いている。2010年に、ソーシャルゲーム開発会社のgumi(グミ)やポケラボと組んでゲームを提供したが、その後2社は急成長を遂げている。制作費として支払っていた資金を出資に変えて、ベンチャー企業を支えていくのである。

 投資第1号は、デジタル絵本開発会社のスマートエデュケーションに決まった。「おやこでリズムえほん」など8本のアプリを発表し、累計370万ダウンロードを超えるヒット作を生んだ有望ベンチャーである。

 ファンドの指揮を執るのは、ドラマ「踊る大捜査線」のプロデューサーを務めた亀山千広・新社長(6月27日就任予定)である。亀山氏といえば、フジテレビの映画事業の立役者である。

 05年に「放送と通信の融合」を掲げた旧ライブドアに買収を仕掛けられたことがあったが、そのアレルギーを払拭。亀山新体制でベンチャー投資によってIT領域の収益化を目指すというわけだ。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)

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