オラクルは「新エヌビディア」良くも悪くもPhoto:Kim Kulish/gettyimages

 米オラクルが先行き不透明な事業に関して明確な数字を示したことは評価しよう。だが、それらの数字を実現させるのは容易ではない。

 巨大ソフトウエア会社であるオラクルが9日に発表した6-8月期決算は投資家に衝撃を与えた。決算によると、残存履行義務(RPO)――まだ認識されていない契約済み売上高――は、3カ月前の3倍超に当たる4550億ドル(約67兆円)となった。同じくらい衝撃的だったのは、他に進行中の数十億ドル規模の取引があり、近いうちにRPOが5000億ドルを超えると同社が主張したことだった。

 契約済み売上高の急増は、オープンAIのような主要な人工知能(AI)開発企業からのAIコンピューティング需要によって加速している。これによりオラクルは今後数年間について大胆な予測を立てるようにもなった。同社は現在、クラウドインフラ部門の売上高が2029事業年度に1140億ドルに達すると見込んでいる。今年5月までの年度では100億ドル強だった。

 この予想は、既に世界最大級のソフトウエア販売会社となっている創業48年の同社が、総売上高を今後3年間で2倍以上に伸ばす可能性があることを強く示唆している。これは、AI向け半導体大手エヌビディアをほうふつとさせる。エヌビディアはビデオゲーム用半導体のニッチな供給業者から、時価総額が4兆ドルを超える世界唯一の企業へと急速に変貌を遂げた。既に年初来で45%上昇しているオラクルの株価は10日午前、さらに40%上昇し、時価総額が9500億ドル前後に達した。ファクトセットのデータによると、オラクル株の1日の上げ幅としては1990年代以来の大きさだった。