
Martina Tuaty for WSJ
リザ・ディーリーさん(38)と夫のアンソニーさんは7歳の娘ゾーイさんのために毎月約1000ドル(約15万円)を貯金している。大学の学費のためでも、サマーキャンプのためでも、医療費のためでもない。ゾーイさんが経済面を除き、大人として独立した時に援助するためだ。
成人した子どもへの援助を恥ずかしく思う必要はないという、金銭に関してこれまでにない種類の助言がなされている。そうした支援はおそらく必要で、時には望ましくさえあるという。ディーリーさん夫妻は早くから貯蓄を始めることにした。リザさんは2007~09年の景気後退時に大学を卒業し、気に入らない仕事を渡り歩いた。クレジットカード債務も積み上がった。ゾーイさんにはそんな経験をさせたくなかった。
「娘には選択肢があると思ってほしい」とリザさんは言う。
援助するつもりがあろうとなかろうと、多くの親は気付けば同じ問題に直面していた、ということになりそうだ。ピュー・リサーチ・センターの2024年の調査によると、18~34歳の子どもを持つ親の約6割が過去1年に子どもを経済的に援助したと回答した。親は、子どもの誕生から始まった出費が大学卒業で終わらず、大人になっても続くことを理解しつつある。
バンクレートの昨年の調査によると、一般的に親が援助しているのは住宅費や債務返済費、食料品などの生活費だという。全米不動産協会(NAR)の4月の報告書によれば、ミレニアル世代のうち若い層の住宅購入者の3分の1が頭金の支払いで友人や親から支援を受けていた。