英は「炭鉱のカナリア」か 債務膨らむ先進諸国Photo:Peter Dazeley/gettyimages

【ロンドン】先週、英国の長期国債利回りが数十年ぶり高水準を記録した。レイチェル・リーブス英財務相は、多額の債務を抱える同国が財政危機に近づいているとの観測を直ちに否定した。

 多くのエコノミストは英財務相の見方に同意している――今のところは。ただ、先進国が記録的水準の債務を抱え、その借り入れを賄うコストが増え続ける現状では、英国が金融市場の「炭鉱のカナリア」になる可能性がある。つまり米国やフランスのような他の債務国に対し、問題の発生を前触れする有力な指標になるかもしれない、というのだ。

「英国だけがこのような状況にあるわけではない」。キャピタル・エコノミクスの英国担当副チーフエコノミスト、ルース・グレゴリー氏はこう述べた。「先進7カ国(G7)の多くに共通するテーマとして、財政危機が起こりうる条件が整っているように見える。とはいえ、危機が差し迫っているとか避けられないということではない」

 昨年、英国の労働党政権は過去約30年で最大規模の増税を発表した。それは1回限りの措置であり、拡大する財政赤字を埋め合わせ、英国が財政収支均衡に対して真剣なことを投資家に示すことが目的だとされた。だがリーブス氏は11月に再び、英国の納税者に多額の増税を求めることになりそうだ。

 その理由は、英国の借り入れコストが上昇し続けており、同国経済は期待したほどには成長せず、政府は議会で余裕のある過半数を占める立場にもかかわらず、膨れ上がる福祉支出をまだ削減できずにいることだ。エコノミストはこのパターンが繰り返される可能性を懸念している。