すき家の既存店客数「6カ月連続」前年割れ、コロナ禍以来の衝撃数字でも業績計画不変を貫くゼンショーHDの強気Photo by Yuiki Okusa

3大牛丼チェーンの一角である「すき家」が苦戦している。8月の既存店客数はまたしても前年同月を下回り、4月から6カ月連続のマイナスを記録。3月に発覚した異物混入事件による客離れから、いまだに回復できていない。ライバルである吉野家と松屋の業績は堅調に推移しており、明暗がより際立つ状況となっている。(ダイヤモンド編集部 大日結貴)

コロナ禍以来の緊急事態
1Qは衝撃の営業赤字

 牛丼チェーン「すき家」の客足回復が遅れている。運営するゼンショーホールディングス(HD)は、8月のすき家の既存店客数が前年同月比4.2%減だったと公表。新型コロナウイルス禍による未曽有の危機以来となる、6カ月連続の前年割れとなった。

 既存店の客数は、そのチェーンが外食市場で受け入れられているかどうかのバロメーターであり、外食企業にとって最重要指標の一つだ。8月の客単価は同8.5%増だったことから、既存店売り上げは3.9%増となったものの、6カ月間にわたり前年割れが続いている状況は、非常事態といっていい。

 実際、すき家事業は第1四半期決算で前年同期比62億円減となる7億円の営業赤字に転落している。ゼンショーHDは5月の時点で、上期中に客数を回復させる腹積もりだったが、見通しは厳しいといわざるを得ない。

 客離れの最大の原因は、2025年3月に発覚した、みそ汁にネズミが混入した前代未聞の事件であることは論をまたない。ところがゼンショーHDは、「異物混入の影響だけではなく、暑さなどいろいろなファクターがある」(ゼンショーHDの丹羽清彦CFO〈最高財務責任者〉)としており、「すき家の赤字額は想定内のため、予算は変更しない」と強気の姿勢を貫いている。

 果たして、いつまで強気の姿勢を保てるのか。次ページでライバルチェーンの業績とともに、すき家の客離れの要因を分析。さらにゼンショーHDが強気の予想を保てる理由も探った。