大衆酒場「庄や」の店舗数が激減!めちゃ美味しいのに客が来ない残念すぎる理由大衆酒場「庄や」 Photo:DIAMOND

大衆酒場「庄や」を展開する大庄の勢いが衰えつつある。グループ全体の店舗数はこの6年でほぼ半減し、他の低価格チェーン居酒屋が台頭し、存在感を示せていない。しかし、「美味しくなくなった」というわけでもなさそうだ。実際、店に行ってみた上で、データを見ると、味はおいしいけど失敗する飲食店の特徴が見えてきた。(イトモス研究所所長 小倉健一)

居酒屋の定番「庄や」を最近見なくなった

 大庄が運営する「庄や」は、かつて日本の居酒屋業界で一世を風靡した老舗チェーンである。創業は1968年、創業者の平辰氏が東京・大田区で開いた小さな焼き鳥屋が原点であった。

 その後、1973年に庄や1号店を東京・千代田区にオープン。手頃な価格設定も相まって、庄やは瞬く間に人気店となり、チェーン展開を加速させた。

 特に1980年代後半のバブル景気は、庄やにとって追い風となった。企業の旺盛な交際費需要を背景に、団体客が連日店に押し寄せ、2000年代にはグループ全体で700店舗を超える規模にまで膨れ上がった。

 新鮮な魚介類を看板メニューに据え、「魚の庄や」としてのブランドを確立したのもこの時期である。フランチャイズ制度の導入により全国展開を推し進め、その名は全国津々浦々に知れ渡った。

 1991年のバブル崩壊後も、庄やは一定の安定性を保ち続けた。筆者も2000年ごろに、当時、小沢一郎氏が率いる自由党の学生部の飲み会に参加した際に、永田町近くの庄やの店舗を利用した記憶がある。当時、居酒屋といえば「庄や」が定番であったのだ。

 しかし、時代の大きなうねりは、徐々に庄やの足元をむしばんでいった。