別の試算では、23区の約6割で震度6強以上の強い揺れに襲われ、最大5930人が犠牲になるとしている。その内訳は、建物倒壊による3206人、火災による2482人、家具の転倒などによる239人となっている。
地震がもっとも大きくなることが予想されるのは、大田区付近を震源とする「都心南部直下地震」である。
東京都では、この「都心南部直下地震」で、23区のほとんどの地域で震度6強以上になると予測している。その結果、全壊建物の総数は8万2200棟にのぼり、最大約6000人の犠牲者が出ると推計している。
首都圏では、人と資本の一極集中が加速しており、日本の総人口の3分の1が1都3県に暮らしている。
関東大震災の最大の教訓は、都市で地震が発生すると必ず火災が広がるということだ。広域で長期のライフラインが停止するだけでなく、膨大な数の帰宅困難者と避難者が発生、深刻な物資不足など、100年前より一層の防災対策が求められている。
わずか3日で食料が尽き
1カ月後には略奪が横行
一方、被害規模からも首都機能は完全に麻痺し、政治も経済も大混乱に陥ることは間違いない。
東京都では2022年5月、首都直下地震の被害想定で「災害シナリオ」を発表している。これは地震の発生から時間を区切り、発災直後、3日後、1週間後、1カ月後に復旧はどう進むか、避難所での生活がどう変化するかを時系列で示したものだ。
その中身を見てみると、発災直後には未固定の家具が転倒し、エレベーターが停止。3日後から備蓄が枯渇し、避難所へ移動。ゴミが回収されず悪臭が出る。
1週間後から避難生活によって心身の機能が低下し、1カ月後から体調を崩す人が増加。さらに、そこに人手不足により自宅の修繕ができない、などが加わる。
避難生活を送る際のシナリオも書かれている。