ひとつの地震に対してマグニチュードの数値はひとつしか発表されないが、震度は地域ごとに数多く発表されるのである(図3-3震度とゆれの状況)。

図3-3震度とゆれの状況同書より転載 拡大画像表示

マグニチュードが1増えるだけで
放出エネルギーは32倍に跳ね上がる

 わかりやすく言えば、大きな太鼓を鳴らしたとき、マグニチュードは太鼓がどんな強さで叩かれたかを表し、震度は音を聞いている人にどのように聞こえたか、である。

 太鼓の音はすぐそばで聞けば大きな音だが、遠くで聞くと大した音ではない。それと同じで、震度は震源からの距離で変わってくる。だからひとつのマグニチュードからさまざまな震度が生まれるのである。

 震度は震源の深さによっても変わる。深いところで起きた地震は、マグニチュードが大きくても揺れは小さくなる。ちなみに私たち専門家は、震源が深さ10キロメートルだと「浅い」と思い、深さ60キロメートルなら「深い」と感じる。

 では「マグニチュード7.0」「震度7」といった数字は何を意味しているのか。

 マグニチュードは数字がひとつ大きくなると、地下から放出されるエネルギーは32倍ほど増加する。

 数字が0.2大きくなると、エネルギーは約2倍になる。つまりM7.2がM7.4になると、エネルギーは2倍ほどになる。ちなみにM8はM7の32倍のエネルギーであり、M9はM7のちょうど1000倍となる。じつは1000の平方根が32なのだ。

もし首都直下型地震が起きれば
都民6万人の命が失われる

 政府の中央防災会議は、首都圏でM7.3の直下型地震が起こった場合に、最大で1万1000人の死者が出ると予想している。そのほかにも、全壊および焼失家屋は61万棟におよび、建物等の直接被害は47兆円、そして95兆円の経済被害が出ると想定している。