三河地震や陸羽地震のようなタイプの地震は、海の震源域の内部で発生したものではなく、新しく別の場所で「誘発」されたものだ。「余震」とはまったくメカニズムが異なっている。
太平洋プレートと北米プレートの境界で起きる余震とはまったく別に、内陸の広範囲でM6~7クラスの地震が散発的に誘発されるのだ。しかも、余震域でないところでも地震は起き、それも予兆もなく、襲ってくるのである。
30年以内に70%で発生…
首都直下型地震はすぐそこに
「誘発地震」が直撃することが予想される地域の中で、もっとも懸念されているのが首都直下地震である。
じつは「3・11」による誘発地震は、北米プレートの上で数多く起きている。首都圏も北米プレート内に含まれているため、例外ではない。
国の中央防災会議や日本列島の地震を調べている地震調査委員会は、今後30年間にM7クラスの地震が70%の確率で発生すると予測している。つまり首都直下地震は、起きることはすでにわかっており、問題は「いつ」起きるかの段階に入っているのだ。
過去にも同じ地域で巨大地震が発生している。幕末の1855年、東京湾の北部で安政江戸地震が発生し、1万人前後の犠牲者を出した。またそこから遡る1703年、元禄地震では1万人以上の死者が出て、幕府に多大な打撃を与えている。
ここで地震が発生したときに発表される「マグニチュード」と「震度」という2つの言葉について説明しておこう。
地震が発生すると、テレビ画面に「震度5弱の地域は○○」「震度4の地域は○○」といった表示が出る。その後しばらくして「マグニチュード6.2、震源の深さは20キロメートル」などといった情報が流れてくる。
マグニチュードは地下で起きた地震そのもののエネルギーの大きさであり、震度はそれぞれの場所で地面が揺れる度合いのことである。したがって、マグニチュードと震度は似たような数字でも、まったく異なる意味をもつ。