それほどに地球は巨大なのだ。そうであるが故に、人間にとって異常と感じる現象も、地球にとっては小さいと評価される。

 しかしいっぽうで、そうした地球規模にとっては小さな現象が、そこで営々と生活を築き上げてきた人々に多大な影響を与え、人命に関わる事態を生じさせていることも事実であり重要な問題なのだ。

「長尺の目」で考えると
温暖化は悪いとは言えない

 地球のように巨大なものを考えるときは「長尺の目」といって、大きなスケールで物事を見る必要がある。

 世界的な異常気象の背景には、地球の温暖化があると盛んに言われている。しかし、46億年という地球の誕生から現在までを考えれば、けっして現在の気象が異常とは言えない。

 地球の歴史は46億年前にはじまり、それからさまざまな現象が起きた。生命誕生のあとも地球環境の激変によって大量の生物が絶滅した。

「長尺の目」で見ることは、今後の地球がどうなるかを知るためにも威力を発揮する。

 たとえば、何万年、何千万年というスケールで捉えることによって、長期的な予測が可能になる。物事は常にミクロだけでなく、マクロに見ることが重要である。

 人類の祖先はアフリカで誕生し、木の上から地面に下りて暮らしを営むようになった。それ以降サバンナの大地を歩く、いわゆる二足歩行がはじまった。人類はその後、数百万年は狩猟採集による生活を続ける。

 人類が大きな転換点を迎えたのが、約1万年前である。それ以前の地球は寒冷気候できわめて暮らしにくかったのだが、1万年ほど前に地球全体が温暖化したのである(図6-31万年前以降の気候変化と文明の盛衰)。

図6-31万年前以降の気候変化と文明の盛衰同書より転載 拡大画像表示