自然災害の激甚化が進む中、2023年は「地球沸騰化」という言葉が話題を呼んだ。実際、23年夏は最高気温35度以上の猛暑日が続いたのに加え、ひょう災が甚大な被害を及ぼした。そのひょう災を事前に察知できる「ひょう災アラート」について、特集『総予測2024』の本稿では、開発の経緯を含めて開陳する。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
世界的に自然災害の激甚化が進み
「地球温暖化」から「地球沸騰化」へ
「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」
2023年の新語・流行語大賞でトップ10入りするほど話題となった「地球沸騰化」。WMO(世界気象機関)が「23年7月の世界の平均気温が16.95度となり、史上最も暑い月になった」と発表したのを受けて、アントニオ・グテーレス国連事務総長が述べた言葉だ。
日本でも、23年の夏は最高気温35度以上の猛暑日の日数が過去最多となり、暖冬が予想される一方で、大雪の恐れもあるという異常気象が続いている。
その理由が地球温暖化にあるのは論をまたず、世界の平均気温は産業革命以前と比べて、1.1度上昇したとの報告を国連が行っている。気温が上がれば海水温が上昇し、大気中の水蒸気が増えるため、巨大な台風などが発生しやすくなる。
日本でも台風や大雨など自然災害の激甚化が問題視されているが、ここ最近被害の大きさで注目されているのが、ひょう災だ。
次ページでは、甚大な被害を及ぼしたひょう災に対し、東芝と三井住友海上がタッグを組んで開発した「ひょう災アラート」の誕生した経緯を開陳する。