阿部サダヲの3分アヴァンが濃密すぎ!ヤムの「おれさまのアンパン、なめんなよ」に朝から圧倒【あんぱん第124回】

「困っているとき苦しいときこそ人を喜ばせることにしよう」

 チケットが売れていない。

 のぶは懸命に宣伝活動をする。キューリオの子どものための施設に集う子どもたちにチラシを配る。メイコ(原菜乃華)は行きつけの喫茶店でチラシ配り。羽多子(江口のりこ)は駅前で。

 時間が経過し、たぶん夕方、メイコが鼻歌で『アンパンマン』の主題歌を歌っていると、羽多子が帰ってきた。

 1回、人前で歌いたかったが、そんなこと思ったら娘たちに笑われるとためらうメイコに、羽多子は「あんたは子育てがんばったがやき。もう 好きなことしたらええがや。そういうお母さん、こじゃんとすてきやない?」と励ます。これって、メイコが歌うシーンがまたあるフラグ?

 そして初日。お客さんは10人。

「集められなくてごめんね」とのぶはしょんぼりするが、嵩はのぶが頑張ってくれただけで嬉しい。「アンパンマンにはのぶという強い味方がいる」とねぎらう。

 でもあまりに人がいなくて、あの、のーてんきないせたくや(大森元貴)すら愕然としている。顔が広いんだから、関係者を一斉に招集したらいいのに。そこがドラマだけれど。

 嵩は、キャスト、スタッフを集め、「困っているとき苦しいときこそ人を喜ばせることにしようというのが僕の座右の銘なんです」と切り出し「といってもいま思いついたんですけど」と笑わせる。

 いつもはうじうじグダグダしているが、こういうとき場の空気をよくできる嵩はすてきな人だ。

 さてこの「困っているとき苦しいときこそ人を喜ばせる」は、嵩のモデルであるやなせたかしの「人生喜ばせごっこ」という言葉に通じている。そして、脚本家・中園ミホもこれを人生の指針にしているようだ。以前インタビューしたとき、自身が占いをしている話から、こんなことを語っていた。

「『空亡期』とは四柱推命で使用される言葉で、何をやってもうまくいかない時期と言われています。でも、私の習った占いだと、その時期を決して怖れず、他者のために頑張ることでのちのちの自分の足腰を強くするという解釈をしているんですよ。そう思って『花子とアン』に挑んだところ、その後、脚本家として新たなチャンスにつなげることができたんです」

 ピンチのときには他者のために何かをする。なかなかいいピンチの切り抜け方ではないだろうか。

 健太郎(高橋文哉)は、まだ初日、ここから尻上がりになっていけばいいと前向き。さすが健太郎。終わったらカレーをごちそうすると皆に約束する。もしかしてケータリング要員だった? アンパンマンの手袋も工夫していい感じに仕上げていたようだ。困ったときの健太郎。