阿部サダヲの3分アヴァンが濃密すぎ!ヤムの「おれさまのアンパン、なめんなよ」に朝から圧倒【あんぱん第124回】『あんぱん』第115回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は第124回(2025年9月18日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

「おれさまのアンパン、なめんなよ」

「おまえらいつもそればっかりじゃないか」

 チケットが売れていない「熱血ミュージカル『怪傑アンパンマン』」をなんとか盛り上げたい。その一心で、のぶ(今田美桜)は蘭子(河合優実)に頼んで、早朝、ヤムおんちゃん(阿部サダヲ)の元へ向かった。

 嵩(北村匠海)のためにあんぱんを焼いてほしいと頼むため。ヤムは大方そうじゃないかとすぐに理解して、上記の発言をした。

 ヤムはのぶたちを邪険に扱うが、『怪傑アンパンマン』のミュージカルが上演されると聞くと、すぐに、反応。「化け物」「怪物」「おばけ」と悪く言うが、しっかり内容をチェックしているのだ。やっぱり嵩のことを気にかけているのである。やさしい。

 ヤムは、世間一般の『アンパンマン』の評価を代弁する。首から上のない主人公なんて「化け物」「怪物」だと。でものぶはなくなった頭はジャムおじさんが作り直してくれると猛烈に反論。おじさんは「妖精」なのだと言う。このときののぶはまるで幼い頃ののぶに戻ったようだった。

「1回そのおやじつれてこい」とヤム。自分がモデルだとは思っていないのだろうか。

 ヤムは単なるパン工場のバイトなのでここではパンは焼けないというと、のぶはうちの天火(オーブン)で焼けると言う。

「おれさまのアンパン、なめんなよ」

 技術が進んで、ご家庭でもパンが手軽に焼ける時代になった昭和40年代。職人・ヤムは忸怩たるものであろう。まあでも家のパンとプロのパンは全然違うものだ。

 3分のアヴァンが濃密だった。さすが阿部サダヲ。

 他局の主演ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日)で大活躍していた阿部が久しぶりに『あんぱん』で楽しませてくれた。