(3) LTV:売った後の「活用フェーズ」まで責任を持てるか
LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)は、1人の顧客から得られる総収益を示す数字です。SaaSビジネスにおいては、初回の契約金額よりも、「どれだけ長く使い続けてくれるか」「どれだけ追加でサービスを利用してくれるか」が成否を分けます。
営業は、契約の瞬間だけでなく、「導入後にどれだけの成功体験を提供できるか」「継続的な価値提供のためにどんなフォローが必要か」といった視点を持つことが不可欠です。
例えば、最適なオンボーディングを意識した提案、CS(カスタマーサクセス)との連携設計、アップセルの布石となる活用提案なども、営業の業務範囲に含まれてきます。「契約はゴールではなく、LTV最大化の起点」と捉えることができれば、あなたは単なるプレイヤーではなく、“事業成長の起点をつくる営業”として評価される存在になれるでしょう。
数字を「知っている」だけでは不十分
「語れる」ことが評価につながる
ここまで紹介したMRR/ARR、CAC、LTVという3つの数字は、SaaS営業における“成果の定義そのもの”です。
ただし、これらを単に知識として知っているだけでは、現場では通用しません。重要なのは、「自分の営業活動をこれらの数字に照らしてどう設計し、どんな成果に結びつけたのか」を語れるかどうかです。
例えば、「自分はCACを意識して○○という手法でアプローチの効率化を行った」「LTVを最大化するために、○○のようなオンボーディング支援を提案した」など、実体験とセットで語ることが、転職面接でも採用担当者の信頼を得るカギになります。
数字を武器にできる営業は
SaaSでも活躍できる
SaaS業界で評価される営業に共通するのは、「数字に強い」だけでなく、「数字から逆算して営業設計ができる」ことです。
数字を起点に思考を組み立て、プロセスの設計、改善、成果のストーリー化まで行える営業パーソンこそが、SaaS企業では即戦力と見なされます。
転職を考える時こそ、自分の営業スタイルを見直す絶好のタイミングです。
次の3点を振り返ってみてください。
(1)単発ではなく、継続性のある収益を意識した提案ができているか?
(2)営業のコスト対効果を意識し、効率化に取り組んでいるか?
(3)契約後の顧客体験や成功にまで思いを巡らせた営業ができているか?
これらに自信を持って「はい」と答えられるなら、あなたはすでにSaaS営業の素養を持っています。今後、さらに市場価値を高めたいのであれば、“数字に基づく戦略的な営業力”を身につけることが、次のキャリアを切り拓く鍵になるでしょう。