麻辣湯はなぜ「辛いのムリ…」な人までハマる?激辛なのに万人ウケする“意外な仕掛け”都内を中心に店舗を展開する「七宝麻辣湯」(写真はイメージです) Photo:PIXTA

激辛フードはいつでも一定の需要があるものだが、最近では「麻辣湯」や「麻辣」を使った菓子が台頭し始めている。山椒系のスパイスと辛さが合わさって、ひいひい言いながらも完食してしまう後をひくうまさがある。人気の秘密は。(フリーライター 武藤弘樹)

辛いものが苦手な人も魅了する
激辛グルメ「麻辣湯」はどんな食べ物?

 現在、麻辣湯(マーラータン。中国では「麻辣燙」。「湯」の下に「火」と書く)という食べ物がブームになっているようである。

 関連の特集がテレビで散見され、SNSではただ「おいしい」と伝える投稿やアレンジレシピなんかがバズっている。Z総研が発表した「Z世代が選ぶ2025上半期トレンドランキング」(グルメ部門)にも入っているが、若い世代に限定されるブームではなく、中高年にも人気がある。

 麻辣湯とはどのようなものか。「麻(マー)」は花椒や山椒系スパイスのしびれる辛さを指し、「辣(ラー)」は単に「辛い」という意味か「唐辛子由来の辛さ」を意味することがあり、「湯(タン)」はスープの意なので、「花椒でしびれる辛い麺」が麻辣湯である。つまりは、辛いラーメンである。

 辛いグルメはおおむね確実に一定数の人に支持されるので、安定した人気を得ることができるが、辛いのが苦手な人からは敬遠される。ある程度のところで頭打ちになりやすいのが辛いグルメの宿命だが、麻辣湯はそこをブレイクスルーしていく材料をいくつか有していた。

 さて、麻辣湯がヒットした理由を分析しつつ語ろうという段なのだが、その前に一旦私の体験にまつわる話を聞いてほしい。実はこれまでに、「麻辣」の名がつく食べ物に何度も命を救ってもらっているのである。