カーク氏、米共和党の若者取り込みに貢献オリビア・ハバードさん(19)はカーク氏の演説を聞き、自分が抱いていた考えが全て言語化されたように感じたという Photo: Rebecca Noble for WSJ

【フェニックス(米アリゾナ州)】オリビア・ハバードさん(19)は大学進学のため米アイオワ州を離れた際、父親が常々主張していた保守主義からようやく解放されると考えていた。ところが、結果的に彼女は政治的に目覚めることになった。

 ハバードさんは昨年ルームメートから、保守活動家チャーリー・カーク氏がグランド・キャニオン大学を訪問するので見に行こうと促された。アリゾナ州フェニックスにある同大学はカーク氏の団体「ターニング・ポイントUSA」の本部から車で20分の距離にあった。カーク氏の演説を聞いたハバードさんは、自分が抱いていた考えが全て言語化されたように感じたという。

 キリスト教徒のハバードさんは「さまざまな大学を回って、神を信じていることを堂々と表明する若い人がいるということを、とてもかっこいいと思った」と話した。彼女はすぐに夢中になり、カーク氏が他の大学のキャンパスでリベラルな学生たちと討論する動画を夜遅くまで視聴するようになった。

 カーク氏は10日、ユタバレー大学を訪問中に殺害された。31歳だった同氏は「MAGA(米国を再び偉大に)」運動の旗手となり、ドナルド・トランプ大統領からは若者層の支持基盤を築き、ホワイトハウス返り咲きを後押ししたとして評価されていた。

カーク氏、米共和党の若者取り込みに貢献11日にフェニックスのスカイハーバー国際空港に到着したカーク氏のひつぎを見守る人々
Photo: Rebecca Noble for WSJ

 21世紀のマスメディアを巧みに使いこなしたカーク氏は、若い世代への食い込みという、共和党が長年果たせなかった目標の達成に貢献した。大学生たちは、カーク氏を支持していたかどうかにかかわらず、ソーシャルメディアを開くと必ずと言っていいほど同氏の動画を目にした。