レバレッジ型ETFは“健全なギャンブル”? 売買ランキング上位が示す日本人の意外な本性
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なぜレバレッジ型ETFは「短期保有」が正解なのか?
相場の“うねり”が利益を蝕む仕組み
対象とする株価指数の変動に比べ投資収益が2~3倍などになるように設計されている「レバレッジ型ETF(上場投資信託)」の活用は、長くて数か月の短期取引に限るべきです。
一般に中長期的に株式相場が右肩上がりで上昇し続けることはあり得ず、多くの場合、上下動を繰り返しながら徐々に上がるからです。
「高く買って安く売る」というレバレッジの罠
見過ごせない高コストの壁
詳しい説明は省きますが、実は指数の動きを増幅するレバレッジ型ETFは商品特性上、実質的には株式を「高く買って安く売る」という操作をしていることに相当します。
そのため、投資効率が悪くなることがあるので注意が必要です。またレバレッジ型ETFは信託報酬が比較的高く設定されているので、その意味でも経済合理性に疑問があります。
これは投資か、それともギャンブルか?
よって、「ここぞ」というときにレバレッジを効かせるには有力であり人気の金融商品ではありますが、長期投資には向いておらず、短期的な保有目的にとどめておくべきなのです。
FX(外国為替証拠金)などと同じく、ギャンブル性もある投機取引の一種と捉えたほうがいいでしょう。
売買ランキング上位が映し出す日本人の“本性”
破産しない「健全なギャンブル」としての嗜み方
ちなみに株式市場の「売買高ランキング」では、レバレッジ型ETFは常にランキング上位にあります。これは“ギャンブル好き”という日本人の特性が顕著に表れている結果だと私は捉えています。
レバレッジ型ETFは買いきりの商品で、FXなどのように追証(相場の変動などによって必要額を下回った場合に、追加で差し入れる証拠金)を差し入れなくてはならない状況に陥る心配はなく、一気に破産することもありませんので、健全なギャンブルとして適度に楽しむのはよいのではないでしょうか。
もちろん、過度にお金を突っ込むことはおすすめできません。