求職者がすべき「魔法の質問」
低質エージェントの「共通点」

 まず、「これはどうかな?」とサービスに疑問符の付く転職エージェントの典型は、求人票や募集背景について十分な説明ができず、表面的な情報に終始することです。

 ネットに出ている情報しか持っていない転職エージェントには、あまり価値がありません。転職エージェントの実力を知るには、募集の背景について質問していくのがよいと思います。普段からその会社と接点を持ち、企業戦略や採用方針等について情報収集しているかどうかがそこに表れるからです。

 十分にこちらの希望をヒアリングせず、いきなり「現在のあなたの年齢と年収水準では20社受けて1社合格というデータがあるので、ぜひ20社受けましょう」といった常套句を使い、大量応募を勧めてくるような会社も要警戒です。

「募集背景の説明も薄いし、やたらめったら紹介してくるだけなら自分でネットで応募するのと変わりがないじゃないか」という感想を抱かせる転職エージェントは避けたほうがよいと思います。

 やはりしっかり自分の話や希望を聞いてもらい、自分のことを理解してもらったと思えるキャリアコンサルタントから渾身の情報提供を受けるのが、本来の人材紹介の形です。

 自分のことを理解しようとする会話がない中で行われる求人紹介は、精度に問題がある可能性が高いと思ったほうがよいでしょう。

 そのような面談をする会社は、面談の前にもうマッチングを終えています。事前にもらった経歴や条件に基づいてAIでマッチングして、画面に出された情報を見ながら「この会社はどうですか」と次々に提案しているのです。

 AIマッチング自体が悪いわけではなく、我々もいろいろ研究をしていますが、目の前の候補者を理解するプロセスをすっ飛ばし「あなたの年齢は○歳、職種はこれ、現在の年収は○百万円だからこの会社」と機械的にマッチングするだけでは、やはり精度に問題が出ます。

 入社数年以内の若手で、職種プラスアルファで10個くらいのパラメーターでマッチングしている分にはまだよいのかもしれません。しかし階層が上になっていくにつれ職種以外の要素がどんどん増え、最適なマッチングは難しくなっていきます。当社が手掛けている経営幹部クラスになるとAIマッチングの実用化はしばらく先、というのが現状だと思います。