運が悪いということは
周囲に変化を起こせないということ

 運が悪いというのは、バタフライ効果が起きないということです。

 バタフライ効果というのは、ある蝶々(ちょうちょ)がブラジルで羽を一振りしたら、それが巡り巡ってアメリカで竜巻になるというたとえ話です。でも、すべての蝶々の羽の一振りがそうなるわけではないでしょう。

 いくら羽を振っても竜巻どころか、周囲にも風が起きない蝶々もいるわけです。その蝶々は場所を変えたほうがいいと思う。別の場所で羽を振ったら少し風が起きるかもしれません。

 別のたとえをすると、役所だと年次主義ですよね。だから例えば役所のトップである次官になろうと思うと、自分の1つ上の年に自他共に認めるものすごく優れている人間、あるいは1年下にものすごく優れている人がいたら、トップにはもうなれない。これは運ですよね。

 ところが自分の年次の前後2年ぐらいは非常に凡庸な人ばかりである、あるいは前後1年でこのままだったら役所のトップになるだろうと思う優秀な人がいるが、異性の部下を官舎に入れて不同意性交をしたとかそういうような話が出てきた。そうなれば、出世の列に全く入っていなかった自分が上に行けるかもしれない。これも運ですよね。

運は誰にでも降ってくる
それを敏感に察知できるか

 こういうのを運と言うんです。だから運というのは複雑系なんです。運を引き寄せるためにはどうすればいいか、ということよりも、運が近づいてきたなということを敏感に察知すること。

 だからこれはインテリジェンス能力です。猫を飼っている人は分かると思うけど、利口な猫ってね、何かを食べる時に必ず匂いをクンクン嗅ぐわけです。それから少し舌を出して舐(な)めてみる。まず臭い匂いのするものとかね、苦いもの、酸っぱいものは毒だから、見た目も含めて毒じゃないかというチェックをするわけです。

 その感覚と、運をつかむ人の感覚は似ていると思います。チャンスが回ってくるのをじっと見ている。運は誰にでも降ってきます。それを掴める人と掴めない人がいる。しかし掴むか掴まないかは、意外と情報収集や分析力と関係していると思いますね。

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