こういう流れになります。すべてのスタート地点は、「日本がロシアの南下政策を恐れた」こと。次のステップは、「朝鮮を緩衝国家にしようとした」ことです。ここからすべてが始まっているのです。
もしイギリスだったら
どう動いただろうか?
私の疑問は、「これらすべての動きは、日本に必要だったのか?」です。
日本がしたことを、イギリスに当てはめてみましょう。マッキンダーの言葉で分かるように、イギリスは、はっきりとロシアを恐れていました。「南下政策」ではなく、「西進政策」ですが。
もしイギリスが日本と同じことを考えたら、どう動いたでしょうか?
イギリスは、ロシアとの緩衝地帯をつくるために、ベルギーに進出します(=朝鮮半島進出に相当)。それで、ドイツと戦争になるも、これに勝利(=日清戦争に相当)。イギリスは、ベルギーを併合します(=韓国併合に相当)。
その後、さらなる緩衝地帯をつくるために、ドイツとロシアの中間にあるポーランドに傀儡国家を建国します(=満洲国に相当)。ドイツがこれに反発し、イギリスと戦争を開始(=日中戦争に相当)。ドイツは、ソ連から支援を受け、イギリスと戦います。
イギリスは、このようなややこしい動きをしませんでした。この国は、大陸欧州に進出することなく、ドイツの脅威、ソ連の脅威を退けたのです。
では、日本はどうすればよかったのでしょうか?「今さら感」はありますが、「敗戦理由」を知っておくことは、「失敗を繰り返さないため」に重要です。
まず、日本の行動の大前提に、「ロシアの南下政策を恐れる」というのがありました。これは、「当たり前」でしょう。次に、「だから緩衝国家をつくろう」。おそらく、これが必要なかったのです。
日本は、「水の抑止力」に守られているので、「緩衝地帯はすでに存在している」と考えるべきだったのでしょう。
島国の強みがある以上
満洲も朝鮮も不要だった
それでも、ロシアの南下政策は、リアルな脅威です。だから、朝鮮や中国を支援して、ロシアの南下を止めることは必要でしょう。
「それがうまくいかなかったから、韓国を併合したし、満洲にも出て行ったのだろう!?」と主張する人はたくさんいることでしょう。「うまくいかなかった」のは、本当ですが、だからといって、韓国を併合したり、満洲国を建国したりする必要はなかったのでしょう。