第二次世界大戦の日本の動きは正しかったのだろうか写真はイメージです Photo:PIXTA

国家が軍事戦略を練る上では、地政学の観点が欠かせない。第二次世界大戦を振り返ってみると、同じ島国であるイギリスと日本では、その戦略が大きく異なっていた。うまく立ち回ったイギリスと比較すると、日本の動きは正しかったのだろうか?地政学の視点で、20世紀の日本の軍事戦略を検証する。※本稿は、北野幸伯『[新版]日本の地政学』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。いっても、ロシアは「軍事力世界2位」と呼ばれた国なのですから。

「島国」という立地の強みを
巧みに生かしたイギリス

 水の制止力(編集部注/海や広大な水域には、敵国の侵略を困難にさせる防衛力があるという考え)に守られている島国には、短所もあります。

「島国は、攻撃されにくい」という長所がある一方、同時に「大陸を攻撃しにくい」という短所がある。

 そのことを知っていたイギリスは、最もパワーが強かったときでも「欧州全土を征服しよう」といった野望は持ちませんでした。

 イギリスは軍事力、技術力で圧倒的に差がある欧州以外の国々を攻め、どんどん植民地にしていった。しかし、すぐ近くにある欧州を支配しようとは考えなかったのです。

 では、イギリスは、欧州に対してどのような政策をとったのでしょうか?「オフショアバランサー」として行動したのです。

「オフショア」とは「沖合」という意味です。イギリスは、大陸から離れた沖合から、欧州のバランス・オブ・パワーをコントロールしたのです。

 欧州に強すぎる国が出そうになると、イギリスは、その他の国々を支援して、強い国と対峙させ、バランスを回復させてきました。