
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第7回(2025年10月7日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
サワいわく「私たちも人柱」
恋占いでは婚期が遅いと出たトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)だが、ちょっと流れが変わってきた。ついにお見合い相手が見つかるのだ。その前には、すてきなおじ様・傅(堤真一)とランデブー(あいびき)もして……。
すべては神様のおぼしめし? 祈りの力であろうか。
今日は橋から川に向かって祈るトキ。それを見たサワ(円井わん)は「いったら、私たちも人柱だな」とつぶやく。
「なに柱だっけ?」
「源助柱?」
この橋を作る工事で人柱になったのが源助という人物だったと言うサワ。これは事故で犠牲になったということだろうか。それとも実際に埋められているのだろうか。昔は実際に「人柱」を神に捧げるという今思えば野蛮なことが行われていたらしい。城や橋など巨大な建築には困難がつきまとうため人を捧げて神にお願いするのだ。
「みんな、生贄(いけにえ)」とサワは絶望的な気持ちで言う。彼女もトキも橋のこっち側(貧しい人たちサイド)から脱するために人柱になりかかっている。
サワは人柱の概念を少し、発展させて考えている。実際に人柱になっていなくても、大多数の庶民たちは何かの犠牲になっていると思っているようだ。
「サワは頭ええなあって」
「頭よかったらとっくに先生になってる」
働きながら勉強するのは大変だとサワは嘆息する。これにはほんとうにほんとうに共感する人は多いのではないだろうか。働きながら自分のやりたいことを並行してやれる人は限られている。働きながら夢をかなえられる人は恵まれているのだ。
それでもネガティブトークでキャッキャしているトキとサワ。
トキが工場に行くと、チヨ(倉沢杏菜)の縁談も決まっていた。
ニコニコしながら「呪うけんね」と物騒なことを言うトキ。
「うそうそ冗談冗談」と笑いながら、また固まっているおトキに「私がおトキの家に婿入りしてあげようかなあ」と言い出したのは――。