SF作家・星新一の父は「東洋の製薬王」だった…偉大な親子に共通する意外な成功哲学。

2025年11月7日 7:30

未来を創造するビジネスの真髄

星一の足跡は、単なる成功譚にとどまりません。その生き方や事業戦略には、現代のビジネスパーソンが学ぶべき普遍的な教訓が数多く含まれています。

変化の激しい時代を勝ち抜くためのヒントが、そこには隠されているのです。

星一がモルヒネの国産化に挑んだのは、それが国家的課題であり、多くの人々の痛みを取り除くという明確な目的があったからでしょう。

目先の利益だけでなく、社会に何が求められているかという大局的な視点を持つこと。これこそが、社会から支持され、長く続く事業を築くための根幹と言えるでしょう。あなたのビジネスは、社会のどんな課題を解決していますか。

福島の村からアメリカへ、そして実業家へ。星一は常に安住せず、自ら環境を変え、新たな挑戦に身を投じました。現代において、業種や国境、さらには文系・理系といった垣根さえも越えて学ぶ「越境学習」の重要性が叫ばれています。

自身の専門領域に安住せず、未知の分野に飛び込む勇気が、自身の市場価値を飛躍的に高めるのです。

星一が科学技術の未来を信じ、製薬という形で社会変革に挑んだように、その息子・星新一は「SF」という文学を通じて、未来社会の光と影を描き出しました。手法は異なれど、その根底には「未来を見通す」という共通のDNAが流れていたのかもしれません。

父の挑戦的な生き様が、息子の創造力の源泉となったように、私たちの仕事もまた、次の世代へのバトンとなるのです。

※本稿は、『ビジネスエリートのための教養としての文豪』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。